ホンダがワンツーフィニッシュで反撃の狼煙。日産に一矢報いてスーパーGT最終決戦が面白くなってきた (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

逆転で王座を奪い取るには?

 しかし、その目論見が大きく外れてしまったのが、前回の第6戦・SUGOだ。佐伯LPLの睨んだとおり、SUGOに入るとホンダ勢は速さを発揮し、予選でも上位につけることができた。だが、決勝では途中で雨が降り始めたことで、展開がガラリと変わってしまったのである。

 雨のコンディションでは、日産Z+ミシュランのコンビネーションが威力を発揮。対してホンダ勢は目まぐるしく変わる路面コンディションで安定感がなく、チャンピオンを争うナンバー17のAstemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)、ナンバー100のSTANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)らは大きく順位を落としてレースを終えた。

逆転での王座奪還に向けて、もうあとがなくなったホンダ勢。だが、得意とするオートポリスでは底力を発揮し、土曜日の予選では5台中4台がQ2へ進出して上位グリッドを固めた。

 なかでも17号車は、土曜日朝の公式練習でクラッシュしてマシンに大きなダメージを受け、一時は予選出走も難しいのではないかと思われていた。だが、メカニックの懸命な修復で予選開始5分前に作業完了し、最終調整ができない状態ながら渾身の走りで4番グリッドを獲得。決勝も迅速なピット作業のおかげでトップに立ち、2番手以下に13秒もの大差をつけて今季初勝利を飾った。

「(公式練習でクラッシュしたあと)『これくらい絶対に直してやるから、走りに集中して、何も気にせず待っててくれ』とメカニックさんに言われて......その時にものすごくうれしかったし、信じてくれているんだという信頼関係を感じました。チームがひとつになった週末だったと思います」(松下)

 また、2番グリッドからスタートした100号車も日産勢相手に粘りの走りを見せた。後半はタイヤが苦しくなり、ナンバー24のリアライズコーポレーション ADVAN Zに迫られる状況となる。

 24号車に抜かれて3位でゴールとなると、逆転チャンピオンの可能性は完全になくなってしまう。しかし、100号車を駆る山本は「『3番手で表彰台に乗れればいい』とは微塵も思っていなかった」と意地の走りで2位を死守。逆転チャンピオンに望みをつなげたとともに、今季初となるホンダ勢のワンツーフィニッシュに貢献した。

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