F1シーズン後半戦開幕。首位フェルスタッペンは2位ルクレールと80点差あっても「残り9戦あるなら9勝する」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

ベルギーGPから加わった要素

 信頼性不足は、ルクレールも2戦、フェルスタッペンも2戦を落としていてイーブン。しかし、ドライバーミスはルクレールが2回に対し、フェルスタッペンは0回。そして戦略ミスとも言えるチーム判断に起因するポイントロスが、ルクレールは第7戦モナコ、第10戦イギリス、第13戦ハンガリーと3回あった。

 モナコとイギリスは「ルクレールを勝たせる戦略」ではなく、「フェラーリの2台どちらかが勝つ可能性が最も高い戦略」としては間違いではなかった。ハンガリーのミスは、戦略というよりもタイヤ性能の読み間違いと、そもそものマシンの速さが足りなかったことだ。

 フェラーリを率いるマティア・ビノット代表の「何も変える必要はない」というコメントがひとり歩きしているが、彼が合わせて語った「何かを変えるのではなく、間違っているところを究明・修正し、これまでの12戦のようなコンペティティブな状態に戻ればよい」というのは、至極当たり前のことだ。

 タイヤへの理解を深め、タイヤをうまく使えなかったマシンのセットアップを見直す。これはストラテジスト(戦略担当)をクビにすることでもなく、今季初の事象に直面したタイヤ担当エンジニアを交代させることでもない。

 ただし、レッドブルが実質的にフェルスタッペン最優先の体制を採っているのに対し、フェラーリがふたりを同等に争わせる方針を貫くかぎり、ルクレールにとってはポイント差を縮めるのは容易ではないシーズン後半戦になるだろう。その点をフェラーリがどう考えるかだ。

 そしてベルギーGPからは、新たな要素も加わる。

 ひとつめは、バウンシング(ポーポシング)規制。

 ドライバーの身体に掛かる負荷を軽減するため、グラウンドエフェクトカーが生み出す縦揺れが一定以上のGを記録すれば、チームは車高を上げるなり何らかの対策を執らなければならない。

 レッドブルはほとんどバウンシングが発生していないため影響はないと見られるが、ドライバーのヘルメットが揺れていることが多いフェラーリは影響を受ける可能性がある。

「僕らには特に影響はないはずだよ。ただ、ほかのチームにどれだけ影響があるのかはまだ未知数だ。でも、過去数戦を見てもすでにほとんどのチームが(バウンシングは)コントロール下に置けていたし、すでにある程度は収束した要素だと思う。もともとそれに苦しんでいるチームが提案したものだけど、その狙いどおりの効果が出る前に問題自体が解決してしまった感じだね」(フェルスタッペン)

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