レッドブル・ホンダ、劇的な大逆転勝利の裏側。「我々に失うものはありません」メルセデスAMGより先に動いた (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 フェルスタッペンが語るとおり、レッドブル・ホンダとメルセデスAMGの熾烈な争いはこれからも続き、ほんの僅かな差が勝利とチャンピオンシップを決することになりそうだ。

 一方、角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)は予選Q1のアタック1周目のターン1でスピンを喫し、最後尾スタートを余儀なくされた。レースでは堅実に走り切って13位でフィニッシュしたが、ハードタイヤの性能低下に苦しみ、同じく早めのピットストップ戦略を選んだジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)にも抜かれてしまった。

角田裕毅はまたも不用意なミスを犯してしまった角田裕毅はまたも不用意なミスを犯してしまったこの記事に関連する写真を見る プッシュする必要のない場面でのプッシュという意味で言えば、第2戦イモラの予選クラッシュから第4戦スペインの予選Q1コースオフ、第5戦モナコのFP2クラッシュと、すでに4回目になる。

 今回もまた、直前のFP3からフラストレーションをつのらせていたことが無意識のプッシュにつながったのかもしれない。だが、アスリートは冷静さを保てなければ、本来の実力を発揮することは難しい。

 これはドライバーとしての能力を問う以前の問題だけに、角田には早急な改善が求められる。どんなミスも学習と成長の種なのだから、1回目は許される。しかし同じミスを繰り返すというのは、そのミスから学んで成長していないことを意味してしまう。

 チームメイトが結果を残せば残すほど焦りは強くなり、思うようにタイムが出せないことへのフラストレーションは高まる。今の角田は、その自分自身の内面に負けてしまっている。ライバルとの差を意識する前に、まずは自分自身に勝たなければ、次のステップは見えてこない。

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