ホンダF1が30年ぶりに首位。モナコGPで完勝、勝敗を分けたライバルとの差 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 抜けないモナコで16番グリッドからのスタートとなっただけに、ハードタイヤを履いて長く引っ張り、前走車がいなくなったところで本来のペースで走る戦略を採った。そこでセーフティカーが出れば、チャンスにもなり得る。

「ポジションを上げるためには、周りとは違うことをやらなければいけないと思っていたので、この戦略には僕も賛成でした。でも、そのギャンブルはあまりうまくいかなくて、ハードタイヤだったので周りと比べて1周目のグリップ不足に苦しみ、いくつかポジションを落としてしまいました。ずっと誰かの後ろを走っているようなレースになってしまった」

 スタートでニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)に先行を許し、彼がピットインするまで抑え込まれてしまった。ようやく前が開けてペースを上げたところで、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)がタイヤ交換を終えて前に立ちふさがった。ソフトタイヤを保たせるために抑えて走る彼のペースに付き合わされることになり、結局ラティフィを抜けずに終わってしまった。

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 しかし1周遅れとはいえ、78周のレースを走り切った。角田としては、この3戦ほどで付きまとっていたモヤモヤした思いを晴らすことができたのではないだろうか。

 ドライビング面でも発言面でも自制を強いられながら、長い決勝を走り切った。もちろんFP2のクラッシュはその自制心が足りなかったとの批判は免れず、モナコで重要な自信とドライビングを組み立てる妨げになったことは否めない。依然として角田自身が不満を抱えるマシンのセットアップも、走行データと走行時間が減ったのだから、それだけ煮詰められなくなる。

 ただこれで、平常心で戦うことが難しかったこの3戦から一度、心を落ち着けられるだろう。よかったところとよくなかったところを見詰め直し、後者の中に自分の甘さや他者に責任を求める甘えが存在していないか、あらためて自分に問いかける。そうやって、次へとまた一歩成長してもらいたい。

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