2020.06.21

ハミルトンが「44」を掲げ続ける理由。
父と二人三脚のレース人生

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

記憶に残るF1ドライバー列伝(9)
ルイス・ハミルトン

 ルイス・ハミルトンがいかにしてF1で成功を収めたかを語る時、彼の肌の色に触れないわけにはいかないだろう。

「僕はいつだって、周囲からのネガティブなエネルギーをプラスに変えて戦ってきたんだ」

 過去を振り返って、今でも彼はことあるごとにそう語る。

F1デビュー当時の若きルイス・ハミルトンと父アンソニー 今となっては信じられないことかもしれないが、2007年にハミルトンがF1にデビューした時、彼の肌の色について嫌悪感にも似た反応を示す人すらいた。F1の主たる部分を構成する”伝統的なイギリス人”たちの眼には、ハミルトンの存在はF1の伝統を乱す危険な存在だと映ったのだろう。

 しかしハミルトンにとって、そんな反応を示されることは日常茶飯事だった。カートを始めた子どもの頃から、そうだった。

 彼の周囲にはいつも、肌の色にまつわるネガティブな言葉や感情が渦巻いていた。それに腹を立てたり、力でやり返すのではなく、「なにくそ!」という気持ちをモチベーションに変えてきたのがハミルトンだ。