新型コロナウイルスがF1にも影響。フェラーリは問題山積で前途多難 (2ページ目)

  • サム・コリンズ●取材・文 text by Sam Collins
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 特に開幕前のテストで苦しんでいたフェラーリにとって、これは非常に厳しい状況と言えるだろう。セバスチャン・ベッテルとシャルル・ルクレール、ふたりのドライバーは共にニューマシンSF1000のハンドリング問題を訴えており、チーム代表のマッティア・ビノットも「現時点で我々のマシンは最速とは言い難く、ラップタイムでもライバルたちに後れを取っている」と認めている。

「昨年のマシンは直線に対してコーナーで遅すぎるという問題があったので、今季のマシンではより多くのダウンフォースを得ることで、コーナーリングスピードを改善することを狙った。だが、その結果、ストレートスピードと低速コーナーでのバランスに問題を抱えることになり、大きな課題となっている」と、テストで語っていたビノット。

 新型コロナウイルスの影響に加えて、問題を抱えたニューマシン......。難問だらけのフェラーリだが、イタリアの名門チームを襲う問題はそれだけではない。ここにきて、昨年のフェラーリがエンジンに関して重大な「ルール違反」をしていた可能性が高まり、FIAやライバルチームも巻き込んで、新たな問題を引き起こし始めているのだ。

「フェラーリがエンジンの燃料供給に関して、何らかのインチキをしているのではないか?」という疑惑については、昨年から何度か話題になっていたが、これに関して今シーズン開幕を前にFIA(国際自動車連盟)とフェラーリの両社は、「合意」に至ったことを発表していた。だが、その内容は「非公開」とされ、フェラーリが実際に違反行為を行なっていたか否かを明らかにしないまま「政治的な幕引き」が図られた。

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