F1上位2チームのドライバー比較。ハミルトンとベッテルの違いとは (3ページ目)

  • 川原田剛●構成 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 そういう選手が一流から超一流になっていく。まさにハミルトンは一流から超一流にステージが上がったように感じます。一方のベッテルは数年前のハミルトンのように、いい時はいいけど、悪い時は悪いというレベルにとどまっているように見えます。

 そこに21歳のクレールが急速に伸びてきた。フェラーリとしても4度のチャンピオン経験があるベッテルと伸び盛りのルクレールをどうマネジメントするのか、僕も監督をしていますが、すごく難しい判断だと思います。

 でも、チーム内ではいつかルクレールにシフトすることを考えているでしょうね。結果を見ながら、クールに判断していると思います。

 ルクレールは後半戦に入り、4戦連続でポールポジションを獲得し、ベッテルを上回る2勝を挙げています。僕はルクレールをF2時代から注目してきましたが、速さがあり、勝負をする時は思いっきり行くし、地味に見えて勝負強い。あと常に余裕を持って走っていて、物怖じしない。まだ21歳ですが、卓越した能力の持ち主です。

 ルクレールのすごさは、ベッテルも気がついていると思います。でも認めたくないだけで、すごいヤツが出てきたら、ドライバーは感覚的にわかるんです。認めたうえでどういうふうにしたら対抗できるのかと考えていくわけで、そこからが本当の勝負だと思います。

 そういう意味で、ベッテルとルクレールの戦いはこれからが本番です。鈴鹿でも面白い勝負が見られると思います。

photo by Yamamoto Raitaphoto by Yamamoto Raita■プロフィール 中野信治(なかの・しんじ)
1971年生まれ。F1、アメリカのCARTおよびインディカー、ルマン24時間レースなどの国際舞台で長く活躍。現在は日本最高峰のスーパーフォーミュラとスーパーGTに参戦するTEAM MUGENの監督を務めながら、佐藤琢磨とともにSRS(鈴鹿サーキットレーシングスクール)の副校長として若手ドライバーの育成を行なっている。世界各国での豊富なレース経験を生かし、DAZN(ダゾーン)のF1解説も担当している。

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