F1ニューマシン解体新書。異なる方向性のトップ3、最適解はどれだ? (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターはこう語る。

「『パワーユニットをこういう範囲内に納めてくれると、車体側の作りとしては助かる』という話があり、我々はそこに入れ込む。性能が大きく落ちる形での対応ではなく、(それによって得られる)車体性能とパワーユニット性能のどっちがどれだけ寄与するかを考えて、トータルパフォーマンスとしてベストになる方法を選びました。

 その結果、大物(ICEやTC、MGU-Hなどのレイアウト)は同じですけど、取り回しや配管・配線などの小物レイアウトを、去年の最終スペックに比べるとギュッと押し込めて、タイトにレイアウトしています」

 レッドブルは伝統的に空力性能を突き詰めたマシンを作り続けているが、ホンダとタッグを組んだことで、これまでやりたくてもできなかった領域にまで、その追究を突き進めることができるのだ。

 今季の3強チームは、パッケージ総合力のメルセデスAMG、空力追究のレッドブル、パワー勝負から総合力へと舵を切ったフェラーリ、という布陣となった。それぞれが異なるマシンコンセプトだが、レベルの高いパフォーマンスを見せてくれるだろう。それゆえに、コース特性によって勢力図が変わり、エキサイティングなシーズンが繰り広げられるはずだ。

 中団グループに目を向ければ、メルセデスAMG型(フォースインディア、ウイリアムズ)、レッドブル型(ルノー、トロロッソ)、フェラーリ型(ハース、アルファロメオ)と、やはり搭載するパワーユニット性能に応じて、この3種類のコンセプトにならったマシンを作り上げている。アルファロメオとトロロッソがBチーム化の道を歩み始め、その傾向はさらに強まった。

 つまり、中団グループもトップ3チームと同じように、サーキット特性とマシン特性の組み合わせによって勢力図が変わっていくだろう。体制移行の途中にあるマクラーレンだけが、フロントはメルセデスAMG勢、マシン中盤はレッドブル、リアは独自路線という、特殊な方法論を採ってきたのも興味深い。

 はたして、新レギュレーションの最適解を見つけたのは、どのチームなのか。その答えは開幕の地メルボルンではなく、シーズン全体を終えて初めてわかることになるだろう。

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