ホンダF1・モータースポーツ部長に聞く。今季優勝できますか? (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「可能性がないなと思ったら、それはやめてこっちにしろという判断も速いしうまい。普通は答えが見えないと恐いから、あれもやっておこう、これもやっておこうとなるものだけど、F1はそんなこと言っていられる世界ではありませんからね。レースには期限があって、ウチの都合でレースの日は変えられない。そういう点で、浅木はいいジャッジをしていると思います」

 最大の明るさは、ホンダに『ホンダらしさ』が戻ってきたということだ。山本部長はこう説明する。

「先週ひさびさにHRD Sakuraに行ったら、それが浅木のいいところなんだけど、やっぱり席にいない(笑)。僕もそうだけど、現場に行っていろんな人と話をしている。そんなざっくばらんな話だからこそ、『え、そうなのか?』『それは面白そうだから試してみよう』みたいなアイディアも出る。それってホンダのいい文化だし、浅木の強みだと思います」

 浅木は、既成概念にとらわれず自由闊達に動ける環境でこそ、有能なエンジニアが育ち、本来の力を発揮できると考えている。「動物園の檻を取り払う」という表現がなされるほどだ。

「雰囲気がすごく明るくなった。フロアのレイアウトを変えたんですよ。以前のHRD Sakuraは1階にエントランスとエンジン組み立て、その他の工作機械、もう1棟の建物の1階にベンチという構成だったんです。そして4階に、設計者や浅木らのデスクがあった。

 その4階にあった席を、全部1階に降ろして1フロアに集約させたんです。その密度感がいいんだよね。設計している人と物を作っている現場が近くて、すぐに行き来できる。今までの4階は広すぎて、となりの席と話すにも距離があったけど、それがグッと近づいた。これが本来、あるべきホンダらしい姿なんです」

 昨年訪れたレッドブルの設計オフィスがまさにそんな様子だったと、山本部長は語る。

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