ホンダF1・モータースポーツ部長に聞く。今季優勝できますか? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「計算的にはそういうことになりますよね。(レッドブルの車体に関しては)トップチーム同士で比べれば、車体だけで1秒も差はつきませんが、去年のシーズン後半戦から分析すれば0.5秒くらいですよね。去年、我々はメルセデスAMGやフェラーリのレースモードに対して、だいたい1秒ちょっとのギャップがあった。それを車体とパワーユニットで、半分ずつ埋められればと思います」

 もちろん、パワーユニット単体でトップに立つことが最終目標だが、レギュレーション策定前から何年も先行して開発してきた他社には、そう簡単に追いつけるものではない。ホンダは5年目にしてようやくトップを争う場所にまで辿り着いた。

 パワーユニットという収穫物に至る以前に、その開発拠点であるHRD Sakura、欧州活動拠点であるHRD MK(イギリス・ミルトンキーンズ)は、その体制も、雰囲気も大きく変わった。

 昨年、浅木泰昭執行役員がF1開発責任者に就任し、組織改革を進めてきた。第2期F1活動の初期からかかわって成功を収め、その後は市販車部門で数々の新機軸を生み出しヒットを飛ばしてきた異色の存在だ。

 その浅木がトップに立ってからの1年で、HRD Sakuraは大きく変わったと山本部長は語る。

「去年から浅木(泰明)体制が本格稼働して、エンジン開発の方向性をしっかり示していることが大きいです。もちろん、その前の年から積み上げてきたこともベースにあるんだけど、いい形で浅木がバトンを受け取って方向性をクリアにした。今年につながるベースを作ってくれたと思います」

 周囲の人々は、浅木のエンジニアとしての感性や勘のよさを指摘する。それが、これまでにオデッセイやN-BOXなど新たな市場を開拓し、ヒットするクルマを生み出してきた理由のひとつだ。

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