トロロッソ10位入賞。ハートレイはプチ喜びもガスリーの不安はでかい (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「クルマのフィーリングがおかしい。ブレーキングでは左右に引っ張られるし、アンダーステアでトラクションもない。今までに経験したことがないくらい変なフィーリングだ」

 金曜のフリー走行でガスリーはそう訴え、土曜の予選までに大きな改善も見られず、17位・18位で第4戦・アゼルバイジャンGP以来の2台Q1落ち。

 あまりに走らないマシンに、ガスリーは頭を抱えた。

「全体的なグリップが不足していて、コーナーの入口ではスタビリティ(安定性)がないし、コーナーの中間ではマシンが旋回していかない。コーナーの出口では、トラクションがとてもプアなんだ。こうあってほしいという理想型の真逆の状態だよ。

 何らかの理由でこういう状況に苦しんでいるんだけど、それがなぜなのかはわからない。他のサーキットに比べてセットアップを大きく変えたわけではないのに、こうなってしまっているんだ」

 バーレーン(第2戦)で速さを見せたように、ストレートを低速コーナーでつないだような「ストップ&ゴー」のサーキットはSTR13にとって、決して苦手ではないはずだった。

 しかし、ホッケンハイムでタイヤのグリップが引き出せないのはなぜか――。考えられるのは、上海(第3戦)でもそうだったように、コーナーが組み合わさって右左(みぎひだり)とし、ステアリングを切り返さなければならないようなセクションでの挙動だった。

「考えられるのは、このサーキットには回り込むようなコーナーのコンビネーションがいくつかあるということだ。ターン2~3とかターン8~10とかね。そういうところでは、タイヤにすごく大きなストレスがかかって、なぜかグリップレベルがプアになってしまうんだ」(ガスリー)

 ダウンフォースが足りなければコーナリングスピードが遅く、リアのメカニカルグリップが足りなければ立ち上がりでスロットルを踏んでいけず、パワーをかけることはできない。メカニカルグリップによるトラクションがないからウイングを立ててダウンフォースをつけたくなり、そうするとストレートが伸びない。結果的にガスリーが言うように、いいところがひとつもないクルマに仕上がってしまう。

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