ガスリーの不機嫌が全開に。3連戦の「宿題」をホンダは解決できるか

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「予選はとにかく、マシンのフィーリングがよかったんだ。でも、クレイジーなくらいストレートでタイムを失っていた。ストレートで0.9秒も失っているんだ」

 第10戦・イギリスGPの予選を14位で終えたピエール・ガスリーの言葉は熱を帯びていた。

最高速が伸びずに苦しいレースを強いられたトロロッソ・ホンダ最高速が伸びずに苦しいレースを強いられたトロロッソ・ホンダ たしかにトロロッソ・ホンダのマシンは、ストレート速度が伸びていなかった。トロロッソより最高速が遅いのは、ルノーとマクラーレン、挙動の定まらないウイリアムズだけだった。

 コーナーで攻めてもストレートでマージンを失うフラストレーションが、ガスリーの口をついて出て止まらなくなった。

「シルバーストンが僕らにとっては、厳しい戦いになるだろうということはわかっていたよ。でも、フォースインディアやザウバーと比べて0.9秒も負けてしまうなんてね。これでは戦えないよ。GPSデータを見れば、コーナーでは僕らは彼らよりも速いんだ。すごくいいマシンだと感じられる。でも、僕らはとにかくストレートで遅いんだ。失った0.9秒をコーナーで取り返すことは不可能だ」

 これに対してホンダの田辺豊治テクニカルディレクターは、ドライバーの不満を率直に受け止めているとはしながらも、多くは語らなかった。パワーでメルセデスAMGやフェラーリに劣っているのは、厳然とした事実だからだ。

「ドライバーにしてみれば、(スロットルを)踏んでいるだけのところで0.9秒も差をつけられてしまってはどうしようもないし、悔しいことだと思います。ただ、チーム内では『パワーが足りない』というような言い方はしていませんし、ストレートが伸びないといったようなこともあまり言いません。我々に気を遣っているのかもしれませんが......」

 ただし、ホンダのあるエンジニアは、もう少し現実的な見方を教えてくれた。

「0.9秒というのは、ちょっと盛りすぎですね。さすがにそこまで大きくはない。現状でメルセデスAMGやフェラーリに差をつけられているのは事実ですが、ルノーとはほぼ同等だと理解しています」

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