「雨のタクマ」は惜しいチャンス。悪天候で右往左往のインディ第4戦 (3ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 開幕から、予選でポールポジションを惜しいところで取り逃がし続け(4戦で2位が3回目)、勝利も挙げていないパワー。昨年チーム・ペンスキー入りしてすぐさまチャンピオンとなった若いチームメイト、ニューガーデンが、第2戦で早くも1勝を挙げ、バーバーでの予選ではパワーからPPを奪い(予選ファイナルの最終ラップで逆転)、さらにはレースでもリードを許していた焦りから、ミスを犯したのだ。ほんの小さなミスがアクシデントに繋がるウェットコンディションの罠に見事にはまってしまった。

 琢磨は予選18位。これは予選中にトニー・カナーン(AJ・フォイト・レーシング)がクラッシュして赤旗が出され、アタックをする前に予選が終わってしまう不運からだった。

 しかし、雨のレースでは22周の中断時で8番手まで順位を上げた。その時点までで最も多くのポジションアップを果たしていたのが琢磨だった。

「インディカーには強力なテールライトが装備されているんだけど、今日の水しぶきはすごくて、2~3台分も車間が開くと、もう赤い光が全然見えなくなっていた。このコースのメインストレートは、一般的なコースと比べて3倍ぐらい水しぶきがひどかったと感じた。それでも体内時計を使ってターン1への進入のタイミングを計って走っていました。ブレーキを踏むと追突される恐怖もあるんですけどね」(琢磨)

 結局、レースは翌月曜日に延期、23周目から再開されることになった。90周が予定されていたレースは、ウェットスタートが切られたため、競技時間が2時間に制限されるルールを適用。月曜の戦いは日曜の22周でかかった約40分間をマイナスした1時間20分ほどでゴールを迎えることとなった。

 灰色の雨雲は消え、月曜のアラバマは晴れ。レースはドライコンディションでスタートしたが、ゴール前20分でまたもや雨が降り出した。

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