トロロッソ・ホンダに緊急指令「10日間で不安定の原因を解析せよ」

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 バーレーンGPの4位入賞に沸き立つトロロッソのスタッフたちのなかで、ひとり冷静な表情を崩さない男がいた。テクニカルディレクターを務めるジェームス・キーだ。

中国GPでのトロロッソ・ホンダは予想以上に苦しい戦いを強いられた中国GPでのトロロッソ・ホンダは予想以上に苦しい戦いを強いられた「空力アップデートを投入してメカニカル面のセットアップ変更を施したことで、中高速コーナーに対してもマシンバランスは良好になり、挙動もコンシステント(一貫性のある状態)になった。しかし現段階ではまだ、もう少し熟成の必要があると考えている。我々にとっては、上海は少し弱いサーキットだろう。高速コーナーが多く、さまざまな難しいコーナーがあるから、今回施したセットアップでそこでもクルマが安定したものになるかどうかが試される」(キー)

 キーは4位入賞という結果に踊らされることなく、中国GPでの苦戦を予想していた。しかし、さすがのキーもここまでの苦戦とは考えていなかった。

 予選15位と17位。決勝は15位フィニッシュ(ペナルティによる10秒加算で最終結果は18位)と最下位からのリタイア。いずれも中団グループのなかでウイリアムズとザウバーの2チームと戦うのが精一杯で、中団上位からは置いていかれた。

「苦戦の度合い」が予想の範囲内なら、その理由は想像がつく。

 金曜日にピエール・ガスリーがいたのは12番手で、ハースやルノーにはやや差をつけられたものの、マクラーレンやフォースインディアと10~12番手あたりを争う位置だった。つまり、大接戦の中団グループのど真ん中だ。今のトロロッソにとって、不得意なコースや不調なときの定位置は、このあたりのはずだった。

 しかし、セッティング変更を施して臨んだ土曜は、「3度もクラッシュしそうになった」というほどマシンが不安定になってしまった。

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