国内でもホンダ祭り。危機一髪、スーパーGT開幕戦でワンツー決めた (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 まさに背水の陣で臨んだ開幕戦。そのホンダを救ったのが、17号車のKEIHIN NSX-GTだった。予選では途中から雨が降り出す難しい路面コンディションとなったものの、塚越広大が渾身のタイムアタックを敢行。圧倒的な速さを見せつけ、チームに4年ぶりのポールポジションをもたらした。

 ただ、決勝では苦しい場面が待ち受けていた。序盤はライバルが背後から迫ってくる展開のなか、小暮が落ち着いた走りでトップを死守。レース中盤は昨年チャンピオンのKeePer TOM'S LC500(ナンバー1)に先行されるも、ピットストップでふたたび逆転する。レース後半も塚越がトップを守り、このまま無事にフェッカードフラッグを受けるかと思われた。

 ところが、残り10周を切ったときにハプニングが襲う。コース上で他車同士が接触した際、飛散した空力パーツが17号車のマシン先端に突き刺さったのだ。そのときの状況を、チームを率いるリアルレーシング代表の金石勝智監督はこう振り返る。

「『なんのパーツか?』と思いましたし、正直『またか』とも思いました。オレンジボール旗(※)が出ないかという心配もあり、後方に(2番手の100号車が)迫ってきていたので、気が抜けなかったです」

(※)オレンジボール旗=車両に機械的な欠陥(ボディ破損やオイル等の液体漏れなど)が発生し、このまま走行を続けると2次的アクシデントを引き起こす可能性がある場合、この旗が提示されてピットインせざるを得ず、欠陥箇所が修復されるまでコースに復帰できない。

 金石監督が「またか」と思ったのは、過去に何度も悔しい思いをしてきたからだ。リアルレーシングは2008年からスーパーGTにフル参戦している名門チームのひとつ。ただ近年は、あと一歩で勝利に届かないレースばかりが続いていた。

 昨年も不運なアクシデントやトラブルでリタイアすることが多く、特に第6戦の鈴鹿1000kmではレース中盤までトップを快走していたものの、残り25周でタイヤがバースト。優勝争いからの脱落を余儀なくされた。

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