ホンダが「どうせダメ」といわれたイギリスGPで示した0.3秒の進化 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 パワー不足の影響が出にくい中低速テクニカルサーキットのハンガリーでは、絶対にグリッド降格ペナルティを受けたくない。それがチーム全体の共通認識だった。そのためここで新品のパワーユニットを丸ごと投入し、ハンガリーGPに向けての準備を整えたのだ。

 しかし実際に走り始めてみると、意外にもマシンのフィーリングは上々だった。予選ではストフェル・バンドーンがモナコGPに続いてQ3に進出し、9位を獲得するほどだった。

「シルバーストンでQ3にいけるとはあまり思っていなかったよ。フリー走行の段階では中団はかなりの接戦だったし、いつもライバルたちは予選モードでさらにパワーをひねり出してくるからね。難しいコンディションだったけど、僕らはずっと速かったし、いい予選セッションだったね」

 アロンソに至っては路面がウエットからダンプ(水はないが湿った状態)、そしてハーフドライへと移り変わっていくQ1でセッション終了1秒前にドライタイヤに換えてタイムアタックに突入し、トップタイムをマークしてイギリスの大観衆を沸かせた。

「(Q1の1位という結果)それ自体に大きな意味はないよ。路面がまだダンプだったけど、決勝で同じようなコンディションになったときのために、ダンプ路面でのドライタイヤのフィーリングを確認しておきたかったんだ。観客席の人たちが立ち上がって拍手をしたり歓声を送ってくれて、彼らもマクラーレンが久々にトップに立つというのが見られて喜んでもらえたと思う」

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