最大5G超。過酷すぎるブレーキングで今年のカナダGPは大変なことに (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 全70周の決勝でドライバーがブレーキペダルを踏む踏力は、総計72.5トンにも及ぶ。減速エネルギーは179kWhで、これは1家庭の電気消費量の62時間分に相当する。

 マシンの高速化にともなって、今年ブレンボのブレーキディスクは厚みが28mmから32mmに、そして冷却風を通す穴は1200個から1400個に増やされている。それでも温度と摩耗に気をつけていなければ、カナダではブレーキに何が起こるかわからない。

「公道サーキットというのは壁が近いし、ランオフエリアがなくてトリッキーなものだけど、ここは縁石を使うところも多いし、路面のグリップが低い。しかも高速だから、低ダウンフォース仕様で走らなければならない。そういう要素のコンビネーションが、このレースを難しくしているんだ。だからこそ楽しいし、僕はチャレンジが好きだから楽しみだけどね!」

 ダニエル・リカルド(レッドブル)がそう語るように、カナダGPが荒れることの多い理由のひとつが、このサーキットの難しさにある。

 そこに加えて、今年は史上最強にハードなブレーキングという新たな要素も加わるのだ。

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