いま日本一速い男...かも。関口雄飛がSF第2戦で異次元のぶっちぎり (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 そして翌日の第2レース。関口はその悔しさをぶつけるような快走を見せる。午前中の予選は3番手。だが、スタート直後の混戦でポジションをひとつ落としてしまった。第2レースでは4輪のタイヤ交換義務があり、レース途中に1回はピットストップが必要となる。4位に落ちた関口は、いきなり1周目にその義務を消化する作戦を選択した。

 このピットストップによって後方からレースを進める展開となったが、前方に誰もいない状態で自分のペースで走ることができる。ここから関口は、昨年に何度も見せた"異次元の走り"を披露した。

 岡山では過去2勝しているトップの石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)も関口の作戦には気づいており、限界ギリギリの走りで周回を重ねていく。しかし、上位陣よりも1周あたり0.3~0.5秒ほど速いペースで周回する関口のほうが、明らかに優勢だった。

 34周目、石浦がピット作業を行なっている間に首位を奪取。レース終盤、セーフティカー導入の影響で接戦となるが、関口は最後まで冷静にトップを守り切って今季初優勝を飾った。

 第2レースに見せた関口の走りは、「ライバルを圧倒した」という表現では足りないくらい衝撃的なものだった。この快走には石浦も「悔しいですが今日は完敗です」と素直に認めるほど。チーム・インパルの星野一義監督は「ピットアウトしたときの無線を聞かせてあげたいくらいでした。『ぶっちぎってやる!』とひと言。そのプロとしての根性が今日の優勝を近づけたと思います」と勝利を喜んだ。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る