ザウバー・ホンダ誕生の事情。両陣営が抱える「メリット&デメリット」 (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 またそれは、マクラーレンにとってもメリットになり得ると、チーフエンジニアリングオフィサーのマット・モリスは語る。

「もちろん心配はしていないし、そんな必要はないと思っているよ。確かに、我々にとってはメリットもデメリットもある。データが増えることはもちろん、開発を加速させるという意味でメリットになる」

 ただし、ザウバーへの供給がマクラーレンへの注力を削ぐようなことにならないよう気をつけてもらいたいと、釘を刺すことも忘れない。

「供給先が多くなるということは、それだけリソースが必要になるわけだから、今までと同じリソース量でやることはできないよね。だから適切なリソースを追加し、それを適切に配置する必要があると思う」

 ホンダにとっては、パワーユニットの製造個数が増えることはそれほど大きな負担ではないが、ザウバーの車体に合わせた補器類のモディファイが必要となることや、現場のエンジニアやメカニックといった供給体制面での追加リソースが必要となることは確かだ。

 ホンダはすでにHRD Sakuraの体制を強化しているだけでなく、昨年からヨーロッパの技術者獲得も積極的に進め、コンサルタントという形での提携や、F1研究開発施設がある英国ミルトンキーンズでの勤務といったさまざまな強化を進めている。ミルトンキーンズでは、メルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレインズ社やフェラーリからのリクルートを希望するエンジニアの面接も度々行なわれているという。現場運営面でも、すでに2名の英国現地採用エンジニアに加え、ロシアGPからは昨年までルノーのカスタマー供給責任者だった人物をヘッドハントして現場に帯同させている。

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