総帥ロン・デニスを解任。マクラーレン・ホンダ「お家騒動」の闇に迫る (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 デニスが去ったことで、"老害"ともいうべき彼の悪影響はなくなる。しかし、統率力の欠けた組織を不安視する声もある。あるエンジニアは言う。

「技術屋が自由にやれる状況になったとしたら、それはそれで心配な面もある。たとえば、目指すゴールが決まっていたとしても、そこに辿り着くための方法論や道筋は、技術者によって異なる。ゴールに到達するまでの時間の速い遅いはあったとしても、ゴールに辿り着けるなら、そのどちらも正解だということになる。つまり、チームが進むべき方向性をハッキリと指し示し、技術者を統率する人間がいなくなれば、チームがバラバラになってしまう可能性もある」

 マクラーレンはこれまでに、フェラーリからアンドレア・ステラ(フェルナンド・アロンソ担当レースエンジニア)、ロータスからシャロン・ピルビーム(チーフエンジニア。レッドブル時代はマーク・ウェバー担当レースエンジニア)などの現場エンジニア、そして開発陣にはレッドブルからピーター・プロドロモウ(空力責任者)、ザウバーからマット・モリス(チーフデザイナー)などを次々と獲得してきた。ブリエもロータスからの引き抜きだ。だがしかし、その誰もが強い指導力を発揮しているとは言えず、顔の見えない組織になってしまっている。

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