ホンダの作戦勝ち。MotoGP前半戦はマルケスが一歩リード (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 どんどん乾いていくごくわずかなドライラインを、マルケスはこのスリックタイヤで走行し、トップ集団よりも7~8秒ほども速いペースで追い上げ始めた。一時は8~9番手まで落としていた順位も、一気に回復。トップを争うドヴィツィオーゾやロッシたちがピットインするタイミングを逸してマシン交換に遅れが生じたことも功を奏し、ラスト6周でマルケスはついにトップに立った。さらには、その勢いのまま後続を一気に引き離して逆に20秒の差を築いて独走状態に持ち込み、トップでチェッカー。2010年の125cc時代以来、ザクセンリンクのレースを7連覇するという無敵ぶりを見せつけた。

  レースを終えたマルケスは、前後ともスリックタイヤに交換した戦略について、「インターミディは最初から選択肢になかった。事前にチームとも話していたんだけど、インターミディは試したことがなかったので限界がわからない。最初から、ウェットタイヤかスリックの二択だった」と説明した。マルケス以外も、ホンダ勢は全員がフロント・リアともにスリックを装着したバイクに交換している。つまり、この戦略はまさしくホンダ陣営の分析と洞察力がもたらした、大胆かつ入念な作戦勝ち、といえるだろう。

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