新たに就任したホンダF1総責任者「長谷川祐介」とは何者か? (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 そして、F1の現場で戦ってきた人間だからこそ、マクラーレンに対して遠慮することなく発言するし、彼らが正しければ"名"よりも"実"を取る。技術者として、ハッキリとした筋が通っている。

「僕はマクラーレン・ホンダが勝つために必要なことであれば、それがなんであっても言いたいと思っています。ホンダが上に立つとか下になるとか、そんなことはどっちでもよくて、チームが勝つために言わなければいけないことは言うし、マクラーレンが言っていることが正しければ、その通りにしたって全然構わないと思っています。大切なのは結果を出すことですから」

 長谷川は自分のことを、「保守的な人間」だと表現する。保守的であることは、技術者としてプラスなのか、マイナスなのか? そう問い掛けると、長谷川はこう答えた。

「まさにそこが試されるんだと思っています。自分が判断して投入するものが、勝負に勝てるのか勝てないのか。保守的すぎて結果が出なければ、それが自分の短所だということになるでしょうし、逆に安全に走れて良い成績が収められれば、長所だということになる」

 ただし、どうやら生粋のホンダマンが考える"保守的"というのは、世間一般の人が思うそれとは大きく異なるようだ。

「今までも僕は散々エンジンをブローさせてきましたし(苦笑)、保守的だからってブローさせないってわけじゃないんです。世間で言うところの"保守的"というのとは、基準が違うというべきかもしれません。もちろん、無謀に回しているわけではないですけどね。途中で止まってしまうようではレースに参加する資格はないと思いますが、ただ参加することや完走することに意味があるとも思っていませんから」

5 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る