【F1】小林可夢偉、母国GPへの思い。「表彰台に乗って当然」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 鈴鹿でも、予選でトップ3を争うレベルにあると可夢偉は見ている。つまり、待ちに待った自身初の表彰台獲得も、自然な流れでいけばほぼ確実に果たされるだろうということになる。可夢偉としても、それが当然だと考えているようだ。

「鈴鹿では、マジで、真剣に予選トップ3を狙って、あとは(決勝では)流す感じでいきます」

 そうはいっても、何も不運やトラブルがない週末というのが果たせていないのが今季の可夢偉。

 シンガポールでも、レース週末前には「鈴鹿に向けて良い状態で自信を持って行けるように、良い流れをつくりたい」と言っていたものの、マシンはそれどころの状態ではなかった。

 前述のように、好調なはずのサーキットでも再三再四、不運が可夢偉を襲った。

「僕が速いとこ(サーキット)行くと、なんかできないんですよね、完璧な週末っていうのが。あれ以上どうしろっていうんですかね」

 どうすれば完璧な週末が果たせるのか? そのために必要なものとは何なのか?

 シンガポールで最後にトライしておきたいことはないのかと問うと、可夢偉はこう答えた。

「なんも考えてないっすよ。思いっきりやったろうと思って。シンガポールで『思いっきりやったろ』思て。んで、鈴鹿でも『思いっきりやったろ』思て(笑)。
 いいんですよ、それで。もちろん、ちゃんと正確にやらないといけないけど、何を狙って8位になるとか9位になるとか、わかんないですもん。こないだだって、ペレスは『モンツァはあかんなぁ』って言うてたのが突然2位に行くんですよ。何を想像したらいいのか分かんないですよ、世の中。だから、思いっきりいったろ思って」

 どう策略を巡らせても、どう考えを巡らせても、なるようにしかならない。レース展開の"読み"が難しい今シーズンのF1は、特にそんな週末が続いている。

 だったら、自分は全力を尽くすだけ。

 そういう思いを、可夢偉なりに表現するとそういう言葉になるのだ。

「表彰台に乗って当然。これまでもそのくらいの走りは見せてきたし」

 そして、鈴鹿では最大のチャンスが巡ってくると、可夢偉は思っている。

「ホントに鈴鹿で初の表彰台とかやったら、ヤバいですよ。感動ですよ、僕も泣くと思います。まだ表彰台に乗れてないのがダサいっていうか、それくらい、ここまで奇跡的なくらい不運続きですからね(苦笑)。鈴鹿で表彰台に乗れたら『このためにここまで苦労させられたんやな』って思うやろから」

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