【F1】可夢偉のザウバーは何番手?見えてきた今シーズンの勢力図。 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 現時点では、そのメルセデスと肩を並べそうな位置にいるのがザウバーだ。開幕戦の予選でも「7番手はいけた」と小林可夢偉は豪語し、決勝でも6位を走ってみせた。一発の速さはライバルに比べて劣ると自己評価しているが、そのぶんレースペースは非常に良く、マレーシアでもペレスが2位を快走してそれを実証してみせた。本家フェラーリを上回る速さがあることは明らかだった。

「行けると確信を持ったのは、残り20周を切った頃だ。これなら勝てると思ったよ。今日は本当に優勝が可能だったと思う。だからこそ、勝ちたいと思ったんだ」(ペレス)

 中団グループでは、ウイリアムズもザウバーと並んで評価が高い。マレーシアではブルーノ・セナが7位入賞、オーストラリアではパストール・マルドナドが最後まで6位を走り、アロンソのフェラーリを追い回すなど、速さを見せた。開幕前からマシン挙動の良さとペース安定性には高い自信を持っており、それが結果に結びつきつつある。

 逆にフェラーリはまだマシンポテンシャルが充分ではない。マレーシアでは優勝したが、雨と他車の脱落による勝利であることはアロンソ自身が一番よく理解している。

「勝てるなんてビックリだよ。オーストラリアでもここでもそんなにコンペティティブ(勝負ができる状況)じゃなかったし、目標はできるだけポイントを獲るということでしかなかったからね。信じられない結果だよ。でも、勝てたからといって、何かが変わるわけじゃない。僕らはまだいるべき場所にはいない。僕らがしたいのはQ3進出争いやポイント争いじゃなく、優勝争いやポール争いなんだ」

 マレーシアの予選ではコンマ4秒に7台がひしめき合い、2012年のF1は上位から下位までの差が一気に縮まったといえる。今後、わずかなミスが勝敗をわけることも十分考えられる。まさにマレーシアGP決勝がそうであったように。

 おぼろげながら見えてきた勢力図は、レースがその通りになるというわけではなく、エキサイティングな波乱の可能性を示唆するものとなっているのだ。

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