【F1】総責任者が語る「マクラーレン・ホンダに不足しているもの」

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 3月26日木曜日、マレーシアGPを前にしたマクラーレン・ホンダのピットガレージ裏に「HONDA R&D(本田技術研究所)」と差出人の名が書かれた巨大な輸送ボックスが置かれていた。栃木県さくら市の研究所からセパン・サーキットへと運び込まれてきたホンダのパワーユニットだった。

 開幕戦オーストラリアGPでジェンソン・バトンが完走こそしたものの(11位)、もう1台は決勝スタート前に壊れ、エンジン本体、ターボなどの交換が必要になった。年間4基しか許されていない各コンポーネントのうち、2戦目にして2基目を投入することになってしまったのだ。

 ただし、この2基目のコンポーネントには新たな開発が施されていた。

マレーシアGPでは2台ともにリタイアに終わったマクラーレン・ホンダマレーシアGPでは2台ともにリタイアに終わったマクラーレン・ホンダ シーズン中の開発は禁止されているが、開発トークンを使用した一定の開発以外に、信頼性・安全性向上のための開発は、FIAが許可すれば可能となっている。また、パワーユニットを構成する基本コンポーネント以外の補器類なども開発が可能だ。

 ホンダはオーストラリアGPの後、信頼性向上のためのいくつかの改良案をFIAに申請し、マレーシアGPに持ち込んだ。なかには開幕戦で壊れたターボとMGU-H※のレイアウト変更まで含めたアグレッシブな案もあったというが、さすがにこれはFIA側に却下されたという。どの案が許可されても対応可能なように、マレーシアには複数の仕様のパワーユニットが持ち込まれ、木曜にようやく最終決定が下されることになった。
※MGU-H =Motor Generator Unit - Heat/排気ガスから熱エネルギーを回生する装置

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