【競馬予想】ヴィクトリアマイルで狙うべき「マイルGⅠに強い血統」は? コース適正も踏まえ2頭に期待 (2ページ目)
母の父シンボリクリスエスもマイルGⅠに実績がある。同じく母の父にこの血を持つソングラインは、2023年のヴィクトリアマイルの勝ち馬で、同じコースの安田記念も2022、23年と連覇している。さらに、昨年の勝ち馬テンハッピーローズの父(エピファネイア)の父がシンボリクリスエスと、「東京・芝1600m」のGⅠと相性のいい血脈だ。
ソーダズリングの戦歴を振り返ってみよう。重賞は昨年のGⅢ京都牝馬S(京都・芝1400m)の1勝だが、距離適性は幅広く、1600mと1800mで勝利し、東京・芝2000mのGⅡフローラSで2着。コース適性があるのも心強い。
マイル戦は3勝クラスの三年坂S(京都・芝1600m)の1勝だが、そのレースでの上がり3F32秒8という瞬発力を見せての差し切りは、1/2馬身をつけた着差以上の余裕があった。今年に入ってからはGⅢ阪急杯(京都・芝1400m)で0秒2差の3着、GⅡ阪神牝馬S(阪神・芝1600m)で0秒3差の6着と大きく負けておらず、展開が向けばここでも上位争いは可能だろう。
【もう1頭は復調気配の5歳馬】
もう1頭はラヴェル(牝5歳、栗東・矢作芳人厩舎)を推す。同馬は1歳上の半姉ナミュールがGⅠマイルチャンピオンシップ(京都・芝1600m)の勝ち馬で、東京マイル戦でもGⅡ富士Sを勝利。曽祖母キョウエイマーチは桜花賞馬だ。
ラヴェル自身、マイル&東京コースの適性が高い。デビュー2戦目でリバティアイランドを破ったGⅢアルテミスSも東京・芝1600mで、GⅠオークス(東京・芝2400m)では4着に入っている。2歳時のアルテミスS以来、不振が続いていたが、4歳秋を迎えた昨年は、GⅠエリザベス女王杯(京都・芝2200m)で12番人気ながら2着。GⅢチャレンジC(京都・芝2000m)では2年1カ月ぶりの勝利と復調した。
姉ナミュールも4歳秋のマイルチャンピオンシップでGⅠ初制覇を飾り、5歳春にはGⅠドバイターフ(メイダン・芝1800m)、安田記念で2着に入るなどすばらしいパフォーマンスを見せていた。ラヴェルは今年に入ってから金鯱賞9着、GⅠ大阪杯(阪神・芝2000m)11着と大敗が続いているが、大阪杯は牡馬のトップクラスが揃い相手が強く、金鯱賞は重馬場と、はっきりとした敗因がある。実績あるこのコースでの牝馬限定戦なら好走は可能だろう。
以上、今年のヴィクトリアマイルはソーダズリング、ラヴェルと、マイルGⅠに強い牝系出身の2頭に期待する。
著者プロフィール
平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)
主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide
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