日本ダービー、異例のローテで挑むシックスペンスは世代の頂点に立てるほど強いのか? (2ページ目)
今は、昔のようにレースを使わなくても強い馬はつくれる。それよりも、目標のレースまでに少ない出走で、いかに馬にダメージを残さないかが大事――と、されるようになりましたからね。そのため、異例のローテ、異例の間隔で大舞台に挑む馬が増え、実際にそれで好成績を上げている馬も多いです。
そう考えれば、シックスペンスのこのローテは、まさに"今風"。馬にとっては休養十分で本番に臨めるわけですから、むしろ有利なローテと言えるのではないでしょうか」
皐月賞出走の権利がありながら、皐月賞をパスしてダービーへ向かった馬の好走例としては、近年では2021年の覇者シャフリヤールがいる。
シャフリヤールはGIII毎日杯(阪神・芝1800m)を勝って、そこからダービーへ駒を進めた。毎日杯はスプリングSの1週後に行なわれるレースゆえ、必ずしも同一例とは言えないが、少なくとも似たような間隔での好走例である。
先の専門紙記者が言うように「休養十分で有利」かどうかはともかく、この"異例の間隔"が敗因になることはない、と言っていいだろう。
だが、シックスペンスが乗り越えるべき課題は、まだまだある。
無傷の3連勝とはいえ、すべて中山コースでのもの。ダービーの舞台となる東京コースはもちろん、左回りさえ走ったことがない。
距離も、経験しているのは1800mまでだ。そこから、600mも距離が延びる2400m戦。未知数というより、不安のほうが大きい、と言わざるを得ない。
何より、実際のところこの馬は、ダービーを勝って世代の頂点に立つほど強いのか。専門紙記者が言う。
「そこが、一番の問題です。確かに、3戦して負けていない、というのは立派。でもすべて、相手が弱い。メンバーが手薄なところばかり狙って(レースを)使ってきたのでは? と思ってしまうくらいです。
前走のスプリングSにしても、2着に3馬身半差をつけて勝ったとはいえ、その2着馬は皐月賞で15着。3着馬も8着でした。この程度の馬を負かしたからといって、それで『強い』、ましてやダービーを勝てるほど『強い』と言えるかというと、そこは疑問です」
スプリングSで手綱を取ったクリストフ・ルメール騎手が、ダービーでは皐月賞で6着に終わったレガレイラ(牝3歳)の騎乗を選択。それがまた、この馬の評価を下げた印象がある。
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