毎日王冠で期待は衰え知らずの5歳馬と、イクイノックスに似た血統構成を持つ1頭 (2ページ目)
もう1頭はフェーングロッテン(牡4歳、栗東・宮本博厩舎)を推す。同馬は昨年のGⅢラジオNIKKEI賞(福島・芝1800m)の勝ち馬。今年に入り、GⅢ中山金杯(中山・芝2000m)ハナ差3着、GⅡ金鯱賞(中京・芝2000m)3/4馬身差2着、GⅢ鳴尾記念(阪神・芝2000m)クビ差2着と好走を続けていたが、前走のGⅢ七夕賞(福島・芝2000m)は14着と大敗。いつものような行きっぷりがなくハナを奪えなかったのが敗因のようで、自分の競馬ができれば巻き返しは可能だろう。
芝1800mはラジオNIKKEI賞以来で、通算では2戦1勝、3着1回。だが、その3着は小倉の2歳新馬戦で、勝ったのは後のダービー馬ドウデュース、2着は後にGⅡセントライト記念を勝ったガイアフォースというハイレベルな1戦だった。
東京コースは初となるが、左回りは昨年の白百合S(中京・芝2000m)を勝ち、前述の金鯱賞では、この夏GⅡ札幌記念を4馬身差で圧勝したプログノーシスの2着に入っている。距離、コースともに問題はなさそうだ。
血統を見ると、兄ピクシーナイトがGⅠスプリンターズSの勝ち馬という良血。父ブラックタイドは芝1800mのGⅡスプリングSの勝ち馬で、名馬キタサンブラックの父でもある。
キタサンブラックの代表産駒といえば現役最強馬と称されるイクイノックスだが、同馬の母の父はフェーングロッテンと同じキングヘイロー。さらにキタサンブラックの母の父はフェーングロッテンの祖母の父であるサクラバクシンオーなので、かなりイクイノックスに似た血統構成となっている。ちなみに、イクイノックスが重賞初制覇を飾ったのは、この東京・芝1800mでの重賞、GⅡ東京スポーツ杯2歳Sだった。
以上、今年の毎日王冠は、キングマン産駒シュネルマイスター、ブラックタイド産駒フェーングロッテンの2頭に注目したい。
プロフィール
平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)
主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide
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