18歳の新人騎手・今村聖奈の "素"に迫る。注目される今、「藤田菜七子さんは本当に大変だったんだろうな」と思うワケ (3ページ目)

  • 河合 力●取材・文 text by Kawai Chikara

成長したのはメディア対応

ーーでは、レース以外の部分でデビューしてから「成長した」と思うところはありますか?

 なんでしょう、メディア対応ですかね(笑)。きょうの取材は楽しく自由に話していますが、そういうことは少なくなりました。たくさんの記者さんやメディアの方が気にかけて応援してくださるのはありがたいのですが、伝えたいことが伝わらなかったり、意図しなかったことが書かれてしまったり。

 前に「これは記事にしなくていいですよ」と話したことが記事になってしまって。そういうこともあり、メディアの前ではスイッチを切り替えるようにしたのもありますね。一度、世に出てしまった記事は直したくても直せないので、余計なことは言わないようにしようと。

ーーなるほど。私たちメディアの人間として気をつけなければいけませんね。

 ただ今になって思うのは、デビューした頃の藤田菜七子さんは本当に大変だったんだろうなと。今は、JRAの女性騎手が合計4人いますが、菜七子さんがデビューした時はひとりだけ。それも久々の女性騎手でした。注目度も段違いに高くて、どれだけ大変だったんだろうと。

 たとえば、1勝するごとに大きく取り上げていただけるのは本当にありがたいのですが、その取材ごとに「ジョッキーとしての目標」を聞かれた場合、1勝したことで目標が大きく変わるわけではないので、どうしても同じ答えになってしまいます。逆にそれを変えるのも違うと思うので。そういう部分は少し悩ましい部分ではありますよね。

 ただ、メディアで発信することで競馬に興味を持っていただきたいという思いもありますし、私自身の性格も伝わっていけばと思うので、自分のなかで考えながらやっていきたいですね。

ーーありがとうございました。いろいろとお話しするなかで、今村騎手の考えや人柄が見えてきた気がします。これからもますますの活躍を期待しています!

終わり

インタビュー前編「『絶対リベンジするから覚えとけよ』。勢い止まらぬルーキー・今村聖奈の騎手人生は挫折から始まった」>>

【プロフィール】
今村聖奈 いまむら・せいな 
2003年、滋賀県生まれ。父の今村康成氏は元JRA騎手。2022年3月にJRAジョッキーとしてデビューし、9月5日現在で40勝(JRA36勝、地方4勝)をマーク。7月3日のCBC賞(GⅢ)では、JRAレコードで女性騎手初の重賞初騎乗初勝利を飾った。

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