宝塚記念のカギは展開にあり。前行く2頭に圧力を与えつつ抜け出しを目論む名手の存在が不気味 (2ページ目)

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro
  • photo by Sankei Visual

 そこで今回、僕が最も気になっているのは、一昨年の三冠牝馬デアリングタクト(牝5歳)です。長期休養明けを叩いての2戦目。大きく変わるとしたら、このタイミングと見ています。

 もちろん、繋靭帯炎を克服して復活させることはそう簡単ではありません。そのことは重々承知していますが、これほどの名牝であれば、故障した時点ですぐに繁殖入りさせてもいいものを、陣営は現役続行の道を選択しました。そこから、陣営の「まだ現役を続けられる」「復活は可能」という強い意志が感じられます。

 もともと前走のGIヴィクトリアマイル(5月15日/東京・芝1600m)は叩き台で、当初からこの宝塚記念を目標としていた、とも聞いています。無事に2戦目を迎え、3歳時のパフォーマンスを発揮するようであれば、女傑復活の可能性は大いにあるでしょう。

 ところで、今年の宝塚記念の行方は、展開面が大きなカギを握っているのではないかと考えています。

 おそらくハナを主張するのはパンサラッサで、番手にタイトルホルダーといった並びが大方の見方でしょう。僕も、パンサラッサに騎乗する吉田豊騎手の性格を考えたら、絶対にハナは譲らないと思っています。

 そして、この並びになった時にポイントになるのは、タイトルホルダーの手綱をとる横山和生騎手の立ち回りです。パンサラッサを逃がしたら厄介なのは当然わかっているはずで、かといって仕掛けが早すぎると自身が後続の恰好な目標になってしまいます。

 この、いつ仕掛けるかという判断が簡単そうで、とても難しいところです。理想は直線入り口で先頭に立つ形ですが、そのエスコートを冷静に行なえるかどうか......。

 そうなると、この2頭の出方をじっくり見ながら動き出せる、3番手に構える馬に最も展開の利があるような気がします。その候補となるのが、オーソリティです。

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