「奇跡のヒロイン」ソダシ。白毛馬初のクラシック制覇の可能性は? (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 総じて言えば、ソダシの長所は"完成度が高い"ということか。

 阪神JFの勝ちタイムも1分33秒1。レシステンシアが記録したレコードより、コンマ4秒遅いだけ。ウオッカが勝った時と同じ優秀なタイムで走っており、時計面での裏付けもある。

 これなら、桜花賞はかなりの確率で「勝てる」――そう言いたいところだが、実はこれがそう簡単ではない。

 その障壁となる最たるものが、桜花賞のペース。「魔の桜花賞ペース」という言葉があるように、まだ成長途上の、未熟な乙女たちのレースは、とかくハイペースになりやすい。

 もし、これまでどおり先手を奪ってレースを運ぶとなると、その"魔の"ハイペースに巻き込まれる危険が生じる。その時、どう対応するのか。

 次に心配なのは、「完成度が高い」ということ。言い換えれば、これ以上の"伸びしろ"があまり期待できないということでもある。

 3歳のこの時期は、急激な成長を遂げる馬が多い。要するに"完成度"を上回るような、驚異的な"成長力"を見せた、強力なライバルの出現も考えられる。はたして、そうした相手に太刀打ちできるのか。

 前出の専門紙記者はこう語る。

「桜花賞で、ソダシはいい競馬をすると思う。確実に上位争いに加わると見ています。ただ、勝てるか? となると、確率は五分五分といったところではないでしょうか」

 8種類あるサラブレッドの毛色のうち、白毛は全体の0.1%にも満たない、ごくごく少数の勢力だ。そんな"奇跡の勢力"から、競馬界に長年あった定説を覆したヒロイン、ソダシが登場した。

 彼女が演じるミラクルは、まだ続きがあるはずだ。

 桜花賞の最後の直線――あの真っ白な馬体が力強く、馬群を割って抜け出してくる姿を、再び見届けたい。

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