「脚もとに不安はない」シルヴェリオ。兄姉が果たせなかった夢に挑む (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO


シルヴェリオの父ハーツクライシルヴェリオの父ハーツクライ こうした兄たちの存在によって、多大な期待を持たれているシルヴェリオ。兄たちと違って、父がハーツクライになったことでも関心の目が注がれている。

 最強種牡馬ディープインパクトには及ばないまでも、ハーツクライも種牡馬ランキング上位の常連。ダービー馬ワンアンドオンリーやオークス馬ヌーヴォレコルトをはじめ、クラシックで活躍する馬も多数送り出している。兄姉たちとは違った持ち味が引き出されれば、シルヴェリオもそんな大舞台が目指せるだろう。

 同馬はすでにトレセンに移動し、デビューに向けて調整を行なっている。現時点での陣営の評価について、関西競馬専門紙のトラックマンはこう伝える。

「速いタイムを出し始めた段階ということもあって、まだちょっと力む面があり、フォームがバラバラになりがちなようですね。厩舎スタッフは、『幼さが強いので、ここからじっくりと仕上げていく予定』と話していました。ハーツクライ産駒は、ゆっくり成長していくタイプが多いので、これから徐々に良化していくのではないでしょうか」

 まだ2歳になったばかりの若駒。さすがに未完成の状態ではあるようだが、素質の一端は随所に見られるという。

「普段の走りは非常に綺麗で、そのフォームから素質の高さは十分に感じられるようです。兄たちは脚もとの弱さが懸念されていましたが、シルヴェリオについては、その辺りの心配もないようです。これまでの調整はいたって順調に進んでおり、その点は頼もしい限りかと思います」

 デビュー戦では、クリストフ・ルメール騎手が手綱をとる予定。そこで、有力馬の騎乗が集中しているトップジョッキーを唸らすような走りを見せられれば、先々への楽しみは広がる。

 はたして、シルヴェリオは兄たちが挑めなかったクラシックの舞台へと駒を進めることができるのか。まずはその初陣を注視したい。

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