「2強」を悩ます高速馬場。安田記念の穴馬は前の2頭か後ろの2頭か (3ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

 一方、現在の高速馬場を踏まえて「当然、各ジョッキーの意識は前になる」と睨み、安田記念の展開をさらに深読みするのは、中日スポーツの大野英樹記者だ。

「(今の東京は)先行馬有利が顕著だと見て、当初はダノンプレミアムに◎を打っていました。しかし、Cコースに替わって2週目。週中の降雨次第では馬場状態に変化が見られるかもしれません。そうなれば、違った波乱の目も出てきます」

 大野記者はそう語って、ハイペースに乗じた差し馬の台頭に目を向ける。とりわけ注目しているのは、「ペルシアンナイト(牡5歳)とモズアスコット(牡5歳)」だと言う。

「ペルシアンナイトは、この春はGII金鯱賞(3月10日/中京・芝2000m)、GI大阪杯(3月31日/阪神・芝2000m)と中距離戦を2度使いましたが、結果は4着、11着と案外でした。

 大阪杯のレース後、鞍上のミルコ・デムーロ騎手は『緩い馬場が合わなかった』と話していましたが、それよりも"行きたがった"ことが敗因。気性的に、やはり中距離では我慢が利かなかったのでしょう。逆を言えば、GIマイルCS(京都・芝1600m)を制したこの距離なら、折り合えるということ。適距離での巻き返しに期待が持てます。

 また、もつれにもつれれば、昨年の覇者モズアスコットにだってチャンスはあります。もともと叩いてからのタイプで、前走のマイラーズCは明らかに"叩き台"といった仕上げでした。馬体は見た目にも太く、そこからしっかり絞れてくるようなら、侮れない存在ですよ」

 昨年末の海外GI香港マイル(12月9日/香港・芝1600m)以来となる、前走マイラーズCでのモズアスコットの馬体重は496kg。昨年、安田記念を勝ったときより14kgも重かった。昨年は連闘で挑んで体を絞ってきたが、ひと叩きしたことで同様に体が絞れれば、9番人気で戴冠を遂げた昨年の再現も十分にあるだろう。

 アーモンドアイ、ダノンプレミアムの「2強」を脅かすのは、前に行く馬か、それとも後方から強襲してくる馬か。どちらにせよ、「2強」の一角が崩れるようなことがあれば、またも高配当が生まれることは間違いない。その大役を果たす馬が、ここに挙げた4頭の中にきっといる。

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