日本ダービー、サートゥルナーリアは
本当に「テッパン」なのか

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Yoshifumi Nakahara/AFLO

「ダービー前の順調さについては、(放牧から)厩舎に戻ってきてからの乗り出しの時期によく表われています。皐月賞の前は(放牧から)帰厩して、初時計を出すまでに1週間以上かかっていましたが、今回は皐月賞後の短期放牧から帰ってきて、すぐに時計を出しましたからね。

 しかも、前走時にはまだ余裕があった馬体が、今はほどよく絞れています。本番1週間前の段階で、皐月賞出走時とほぼ同じくらいですから、このあとの稽古と輸送で(ダービーに向けては)ちょうどいい具合に絞れるはず。

 それでいて、テンションが上がるということもなく、精神的にどっしりと落ち着いている。レース前の状態としては、皐月賞の時とは比べ物にならないくらい、いい感じですよ」

 これでは、ライバル陣営が"白旗"を上げるのも頷ける。

 サートゥルナーリアについて語られる際、同じシーザリオを母に持つエピファネイア、リオンディーズの兄2頭がよく引き合いに出される。

 2頭ともデビュー当時から素質の高さを評価され、「ダービー候補」と言われた。だが、いずれもその戴冠は果たせずに終わった。最大の理由は、有り余る能力を持ちながら、それを制御するだけの肉体、精神面の成長が、ダービーを目前に控えたこの時期に不足していた、とされている。

 つまり、2頭の兄はレースではなく、自分に負けたのだ。

 性格的に「おとなしい」「落ち着いている」と評価されるサートゥルナーリアと、兄2頭との最大の違いはそこにある。要するに、春のクラシックで頂点に立てないと言われた"シーザリオの壁"など、サートゥルナーリアの前には存在しないのだ。

 兄2頭の父はエピファネイアがシンボリクリスエス、リオンディーズがキングカメハメハだが、サートゥルナーリアの父はロードカナロア。早くも名牝アーモンドアイを出して、「ポスト・ディープインパクト」と言われる血が、兄2頭には足りなかった"成長"を可能にしたのだろう。

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