奇跡の子メイショウテンゲンの感動話。クラシックで再びドラマを生む (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Yasuo Ito/AFLO

 重賞タイトルを獲得するとともに、クラシックへの出走権を獲得したメイショウテンゲン。実はそこに、陣営にとっての大きなドラマがあった。

 メイショウテンゲンの母は、現役時代にGII2勝を挙げている強豪牝馬のメイショウベルーガ。GIエリザベス女王杯(京都・芝2200m)2着の実績もある。

 そんな彼女が、2011年秋に出走したGI天皇賞・秋(東京・芝2000m)でレース中に故障。靭帯断裂の重傷を負って、競走中止となってしまったのだ。

 それでも、同馬は一命を取りとめて、鞍上を務めていた池添謙一騎手はレース後、「(メイショウベルーガの)命が助かってよかった」と、涙を浮かべながらコメントした。

 それから時を経て、その池添騎手がメイショウベルーガの子、メイショウテンゲンにまたがって重賞を制したのである。加えて、同馬を管理するのも、母と同じ池添兼雄厩舎。池添騎手はもちろん、同馬の関係者にとって、今回の勝利は普通の1勝とはまた違った、感慨深いものがあったのではないだろうか。

 実際、弥生賞を勝利した際、陣営にとって込み上げるものがあったようだ。関西競馬専門紙のトラックマンがそのときの様子を伝える。

「スタッフに聞くと、母のメイショウベルーガは『池添騎手が早めに違和感に気づいてレースを止めたので、なんとか一命を取りとめた』そうです。そうして、無事に繁殖入りし、その子どもが重賞を制覇。しかも、母子ともに同じ鞍上で勝てたことで『感無量の思いだった』と、スタッフは話していました」

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