スプリント勝負の高松宮記念は、4歳の2頭が世代交代へと駆け抜ける (2ページ目)
もう1頭の注目の4歳馬は、牝馬のモズスーパーフレア(牝4歳/栗東・音無秀孝厩舎)だ。
同馬は前走のGIIIオーシャンS(中山・芝1200m)で重賞初制覇を飾ってここに臨むが、そのレース内容がすばらしかった。前半3ハロン(600m)を32秒3というハイラップで逃げ、そのまま押し切ったのだ。過去に、それを超えるハイラップで逃げて重賞を勝った例はないことから、これがいかにすごいかわかるだろう。
オープン特別のレースを制した2頭、2002年のオーシャンS(当時はオープン特別)勝ち馬のショウナンカンプ、1999年の北九州短距離S(小倉・芝1200m)勝ち馬のアグネスワールドは32秒3以内で走って逃げ切ったが、いずれも後にGIホースとなっている。
特にショウナンカンプは、当時はオープン特別だったとはいえオーシャンSを逃げ切り、続く高松宮記念も勝っている。同じローテーションで臨むモズスーパーフレアにとっては心強いデータだ。ちなみに、ショウナンカンプのタイム(1分07秒3)より、モズスーパーフレアのタイム(1分07秒1)の方が勝ちタイムが速かった。
モズスーパーフレアの父スペイツタウンは、米GI・BCスプリントの勝ち馬で、米国を中心に世界各国でGI馬を送る成功種牡馬。日本では本馬の他にもJpnI全日本2歳優駿(川崎・ダート1600m)の勝ち馬リエノテソーロ、ダート1400mの日本レコードホルダーであるマテラスカイなどを出し、芝、ダート問わず産駒にスピードを伝えている。また、今年のフェブラリーSを勝ったインティの父ケイムホームと同じ、ゴーンウエスト系でもある。
これまでのパフォーマンスはもちろん、血統的に魅力的な4歳の2頭。どちらも新時代のスプリント界を担うであろう馬で甲乙つけがたく、2頭による一騎打ちというシーンも十分考えられる。逃げるモズスーパーフレアを、ダノンスマッシュがどこで捕まえにいくかという駆け引きも興味深く、非常に面白いレースになりそうだ。
■平出貴昭 著
『一から始める! サラブレッド血統入門』(KADOKAWA)
4月1日発売
2 / 2