スプリンターズSは、千直育ちの「お姫様」が実績馬を蹴散らしていく

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 夏の暑さも収まって、朝晩はだいぶ涼しくなってきました。そんななか、いよいよ秋のGIシリーズが開幕します。

 その第1弾は、秋のGIシーズン開幕を告げるレースとして、すっかり定着したスプリンターズS(9月30日/中山・芝1200m)です。

 上半期の"スプリント王"を決めるのは、GI高松宮記念(中京・芝1200m)。舞台となる中京競馬場は、改修される前は平坦、小回りで、スピード最優先のコースでした。

 一方、スプリンターズSの舞台となる中山・芝1200mは、スタートしてすぐに坂を下るため、テンが速くなりやすく、それでいて最後の直線では急坂が待ち構えており、短距離のわりには非常にタフなコースとなります。

 それぞれ、大きく異なるコースで行なわれていましたが、両レースで好走する馬が比較的多かったのは、短距離の極限レースはスピードの絶対値の差が明確に出やすい、ということなのでしょう。ですから、中京競馬場改修後も、それぞれのレースで好走馬が極端に変わることは少ないように思います。

 今春、高松宮記念(3月25日)を制したのは、ファインニードル(牡5歳)でした。その後、4月末に香港遠征を敢行し、秋の復帰戦はセントウルS(9月9日/阪神・芝1200m)に臨みました。休み明けで、帰国初戦ということもあって、懸念材料も多かったのですが、ご存知のとおり、あっさりと快勝しましたね。

 しかも、馬場や展開など不問、と思わせるだけの圧勝劇。相手のレベルうんぬんはありますが、海外遠征を挟んでいながらも勝ち切ったことは、高く評価していいでしょう。

 まして、その香港遠征でも4着と健闘しています。レベルの高い香港のスプリントGIで、それもアウェーの立場にあれば、接戦を演じているだけでも立派だと思います。

 この中間も反動がなく、順調に調整されているようですし、有力な1頭であることは間違いないでしょう。

 対して、JRA史上初となる同一GI3連覇に挑むレッドファルクス(牡7歳)も、高松宮記念こそ勝っていませんが、現役屈指のスプリンターです。

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