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マイルCSだから侮れぬ「夏のマイル王」。
有力GI馬勢に肉薄あるぞ

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 秋のGIシリーズも、はや中盤戦。そんな中、ここ数週の重賞レースでは3歳馬の活躍が思いのほか目立っています。

 先週のGIエリザベス女王杯ではモズカッチャンが優勝し、同日行なわれたGIII福島記念でもウインブライトが快勝。さらに、先々週のGIIアルゼンチン共和国杯でスワーヴリチャードが、3週前のスワンSではサングレーザーが、歴戦の古馬相手に見事な勝利を飾っています。

 斤量面で有利なため、例年3歳馬の活躍はある程度見受けられますが、ここまで続けて結果を出しているのを見るのは、最近ではあまり記憶にないですね。

 特に際立っているのは、牡馬の活躍です。

 今年の3歳世代は2歳のときから牝馬の躍進が目立ち、今年の牝馬は「強い」「ハイレベル」などと言われてきました。逆に牡馬のレベルはやや疑問視され、現にクラシック第1弾の皐月賞では牝馬のファンディーナが1番人気に推されました。

 そうした風評の中、日本ダービーの際にも触れましたが、僕は世間が言うほど牡馬が弱いとは思っていませんでした。ただその日本ダービーが、結果的に緩いペースで流れたこともありますが、その前週に行なわれたオークス(2分24秒1)よりも、2秒8も遅い勝ち時計(2分26秒9)で決着。時計だけで実力は測れませんが、「優駿決定戦」であるダービーではオークス以上の結果を望んでいただけに、自らの評価も若干揺らぎました。実際、この時点までは牝馬のほうが、全般的なレベルが高かったのかもしれません。

 しかし、秋を迎えて3歳牡馬が飛躍。夏を越して成長が追いついてきたのでしょうか。それを裏づけるように、世代の"セカンドグループ"ともいえるダイワキャグニーあたりでも、古馬トップレベルが集まったGII毎日王冠で4着と好走。その後は、前述のとおりの活躍を見せています。

 そして今週のGIマイルCS(11月19日/京都・芝1600m)にも、桜花賞馬のレーヌミノル(牝3歳)をはじめ、皐月賞2着のペルシアンナイト(牡3歳)、サングレーザー(牡3歳)、ジョーストリクトリ(牡3歳)、アメリカズカップ(牡3歳)と、5頭の3歳馬が出走。その走りが注目されています。

 しかしながら、過去のマイルCSにおいて、3歳馬の活躍はほとんど見られません。過去10年の結果を振り返っても、2010年のゴールスキーの3着があるのみ。今年で34回目を数えますが、3歳馬(※2000年以前は4歳で表記)の好走例は少なく、勝ち馬もサッカーボーイ(1988年)、タイキシャトル(1997年)、アグネスデジタル(2000年)と3頭しかいません。延べ100頭以上が挑戦していることを考えると、少ないように思います。

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著者プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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