「キタサンブラックが負けるとすれば天皇賞・秋」という記者の真意は? (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 それから、およそ4カ月の休養を経て、いよいよ秋の大一番を迎えるキタサンブラック。それでも、いまだ春の疲れが癒えていないというのだろうか。

 ある競馬関係者によると、調教では以前のような、好調時に見せるうるさいしぐさは戻っているという。現に、速い時計も出している。ゆえに、「状態自体はかなり戻っているし、少なくとも天皇賞・秋では"疲れ"が理由で負けることはない」と、その関係者は語る。

"休み明け"という点についても、今春の大阪杯を昨年の有馬記念からおよそ3カ月の休み明けで制したことを考えれば、特にマイナス材料になるとは思えない。

 ではなぜ、専門紙記者は冒頭に記したネガティブな発言をしたのか。

「実は、ちょっと気になることがある」と、その専門紙記者は言う。

 キタサンブラックを管理する清水久詞厩舎は、ビシビシと強い調教をやって馬を鍛え上げるのが特徴で、キタサンブラックもそのようにして鍛えられてきたが、今回はその"ビシビシ"という感じが欠けるのだという。

「レースの1週前にして、一杯に追い切ったのが1回だけですからね。いつもはもっとやるのに......。先のことを考えているにしても、そこはちょっと引っかかりますね。調教の量は足りているし、時計も十分に出ているし、それらの点では文句のつけようがないのですが、『何としても天皇賞・秋を勝つぞ!』という陣営の意気込みみたいなものが伝わってこないんですよ。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る