ダービーで急浮上のアドミラブルは、ローテ、ジンクスの懸念を拭えるか (3ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki   photo by Nikkansports


 こうして復帰後3戦のレースを見ると、いずれも素晴らしい内容で、日本ダービーで1番人気になりそうなのも頷ける。単純に走破時計だけを見れば、例年のダービーで勝ち負けできるレベルにあるのだ。

 しかし、気になるのはローテーション。3月5日の復帰戦後、約2ヵ月の間に3戦を消化しており、未勝利戦も青葉賞も破格のタイムを出しているのだ。最近の競馬は1戦ごとの消耗が大きく、どんな馬でも、いかに余力を持って最大目標であるGI戦に臨むのが大きなテーマであることが多い。かつては秋の古馬戦線も、前哨戦(GII毎日王冠 またはGII京都大賞典)とGI3連戦(天皇賞・秋→ジャパンC→有馬記念)の計4戦を使うのが普通であったし、春の牡馬クラシック戦線も、皐月賞馬がNHK杯(かつてのダービートライアル、東京・芝2000m)などダービー前にもう1戦使うことはめずらしいことではなかったが、最近はそういった使い方をされる馬は少なくなってきている。

 とはいえ、同じように短期間で多くのレースに出走しながら、ダービーを勝った馬は近年でも存在する。2013年のキズナも3月3日のGII弥生賞(5着)、3月23日のGIII毎日杯(1着)、5月4日のGII京都新聞杯(1着)と、アドミラブルと同じようなレース間隔で使われていた。しかし、キズナは毎日杯を勝って既に日本ダービーに出走する賞金は足りていたので、京都新聞杯は余裕の仕上げで出走させることができた。アドミラブルは青葉賞で2着に入らなければ、日本ダービーの出走が危うかったので、ある程度仕上げていたはずだ。

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