天皇賞・春の「2強」論争に異議あり!割って入るのはシャケトラだ (4ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu  photo by Yamane Eiichi/Aflo

「スタートでちょっと出負けしてしまって。そうなったら慌てて位置を取りに行くよりも、リズムよく追走して仕掛けていけばいいかな、と思って前半はあのポジションでした。ところが、向こう正面でも2番手のミライヘノツバサが楽に見えて、うわっ、これはまずいぞ、と。スーっと上がっていくように見えたかもしれませんが、正直なところ、向こう正面の手応えはそんなによくなかったです」

 では内を回らず、外を回って行ったのはこの馬に力があると思ったのではなかったのか。

「力があるのはわかっていましたが、それと内外のコース取りは別ですね。実は最近、馬のリズムを崩してまでインにこだわるよりは、馬によっては多少距離ロスがあっても気分よく外を回してもいいのかな、と考えているんです。いい感じで上がっていってもコーナーを回るときに、インを回るとどうしても勢いを削いでしまう。そこからもうひと伸びって、実は簡単じゃないんですよね。レースの終盤ですから、当然馬はバテてるんですから。特に中山ではコーナーが急な分、それが顕著。外を回していったのはそれが理由です」

 それでも最後まで伸びを見せ、粘りこむミライヘノツバサをゴール前で差し切った。ところが、これにも田辺騎手はかぶりを振る。

「あれも伸びているのではなく、実はバテているんです。4コーナー手前なんか特に勢いよく上がっていってるように見えますけど、前の馬の脚色がなくなっているからそう見えているだけで。最後はシャケトラもバテている中で、パッタリと止まるのではなく、バテ合いに勝った、という感じですよ」

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