有馬記念の後にGI開催って、どーなのよ?今季のJRA日程に違和感 (4ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu photo by Aflo


 もうひとつ、金杯の1月5日は別として、JRAは休日レジャーのイメージを損なわないために、週末での開催に特化してきた、という歴史的背景もあります。そこをひっくり返すほどの意味が見出せません。

 こういった問題は、仕込みの段階でJRAが気づかないはずがない。でもあえて問題としなかったあたりに、本気で馬主団体の要望を止める気概が感じられない、今の組織の限界を感じました」

 一方で、11月3日のJBCと中央競馬の同日開催については、さほどの否定的な見解はなかった。

「この11月3日の同日開催は、中央競馬と地方競馬の協調路線の流れの一環です。これも例の12月28日開催と関連しますが、JRAの開催が28日の地方競馬や翌29日の東京大賞典(※2)に少なからず影響を与えると思われます。そのダメージ緩和策のひとつでしょう。
※2 大井競馬場で行なわれるダート競馬を締めくくる総決算的なレース

 以前にも、02年のJBC当日にJRAは福島競馬を開催しました。この日の福島競馬は重賞開催がないのにも関わらず、この年のベスト3に入る売り上げを記録しました。さらにそれだけでなく、12の中央競馬の施設の窓口でJBCの馬券も発売したところ、JBC2競走だけで5億5000万円以上の売り上げがありました」

 今年の11月3日は、今や地方競馬にとって頼みの綱でもあるJRAでのネット販売網・PATによる地方競馬発売が、本来ならできない金曜日。そこにJRAの開催を重ねることで、これをクリアし、PAT効果を期待するというところだろう。

「実際には、こればっかりはふたを開けてみないとわかりません。このPAT効果も、そもそもの競馬全体の売り上げの上昇も、そろそろ頭打ちになってもおかしくない。仮にいい数字になったとしても、無防備に諸手を挙げて喜ぶのではなく、きちんとした検証は今後、必要になっていくと思います」
 
 課題の多い2017年の競馬開催。ファンもJRAも笑顔で終わることができるだろうか。

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