有馬記念の後にGI開催って、どーなのよ?今季のJRA日程に違和感 (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu photo by Aflo


「戦略的に春に中距離のGIを作ることは必要だったのですが、ちょっと拙速に進めすぎた感はありますね」

 日本経済新聞社の野元賢一記者はそう分析する。

「もともと2007年に国際セリ名簿基準委員会の定めるパートI国に日本が昇格するまでは、GI競走を自由に作ることができました。その最後に作られたものがヴィクトリアマイルです。これは突然その時期にできたGI競走ですが、1600mという点に若干問題はあったものの、戦略に需要と供給が一致し、さらに全体のバランスも損なうことなく収めることができました。しかし、パートI国に昇格後はGI競走を自由に作ることができず、既存の競走で好メンバーを集め、そのレースにおいて3年間で一定以上のレーティング(※1)を獲得することが必要となりました。
※1 年間レースレーティング。個々のレースにおける上位4頭のレーティングを年度末のランキング会議で決定した数値に置き換えて、算出した平均値

 そんな状況下で、春に2000m路線のGIの設置が急務とされたとき、すぐに手をつけやすかったのが、毎年好メンバーが揃う大阪杯だったんですね。ですが、芝2000mの大阪杯がGIに昇格するということは、同じ阪神競馬場で行なわれる芝2200mの宝塚記念と似た性格の競走が3カ月足らずの近い間隔で並ぶことになります。こうした面や近隣他国の既存競走との連携も考えると、もう少し全体的なことを考えた大きな議論も必要だったのではないでしょうか」

 さらに、昨年のレースレーティングが110.5で、3年連続で条件を満たしたため、GI昇格が確実となったホープフルSについても苦笑まじりに疑問を投げかける。

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