マイルCSで面白いのは、今ならマイル戦が合いそうな2頭のGI馬

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 今週は、下半期の「マイル王」を決めるマイルCS(11月20日/京都・芝1600m)が開催されます。

 ただ、昨年の覇者であり、現チャンピオンと言えるモーリス(牡5歳)は、天皇賞・秋(10月30日/東京・芝2000m)を制して香港へ遠征。上半期の「マイル王決定戦」安田記念(6月5日/東京・芝1600m)を勝ったロゴタイプも、天皇賞・秋(5着)から香港へと向かってしまいました。

 一昨年の勝ち馬ダノンシャーク(牡8歳)をはじめ、ミッキーアイル(牡5歳)、イスラボニータ(牡5歳)、スノードラゴン(牡8歳)と、GI馬が4頭出走するものの、それぞれGI勝利を挙げたのは、2年前のこと。実質的には"マイル王不在"のチャンピオン決定戦となってしまいましたね。

 そのため、全体のレベルはやや低下。本命不在で混戦模様ですが、馬券的には面白くなりそうです。

 まず注目は、前哨戦のスワンS(10月29日/京都・芝1400m)を快勝したサトノアラジン(牡5歳)。GI勝ちはありませんが、2歳のときから「クラシックの有力候補」「GI級の器」と騒がれていただけあって、勝つときは本当に強い競馬を"魅せて"くれます。

 スワンSもそうでした。後方の位置取りから、直線に入ると1頭だけ次元の違う決め手を繰り出して、前方馬群を一気に抜き去っていきました。3走前の京王杯SC(5月14日/東京・芝1400m)を制したときも、同じような勝ちっぷりでしたね。

 この2レースは、ともに1400m戦でした。ゆえに、圧巻の走りができたのは、マイル戦より「距離が短いから」という見方もできます。しかし、僕は違うと思っています。

 サトノアラジンは、もともと折り合い面で難しいところがあって、折り合ったときは鋭くキレ、折り合わなかったときは終(しま)いが甘くなる、そんなムラのあるピン・パータイプ。それが、ここ3戦は常に折り合っていました。これは、鞍上の川田将雅騎手と非常に手が合うのだと思います。

 負けた安田記念においても、あの超スローペースの中、モーリスをはじめ、有力馬のほとんどが折り合うのに苦労していましたが、サトノアラジンと川田騎手は、かかりそうでかからない、絶妙なバランスを保っていました。それだけ、両者の呼吸が合っていたのでしょう。このバランスは本当に微妙なもので、それこそ"相性"なのだと思います。

 結局、展開がまったく向かずに4着に敗れましたが、今まで挑戦したGIの中でも最も収穫のあるレースだったと思います。秋へ向けて、GIタイトル奪取の手応えをつかんだのではないでしょうか。

 だからこそ、スワンSでも1400mのレースながら、本番のマイル戦を意識した競馬に徹していました。おそらく、仕上げも7、8分だったのではないでしょうか。今度は9分以上で仕上げてくるはずですから、最有力の1頭だと思っています。

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