期待の女性騎手・藤田菜七子がアブダビ遠征の木馬指導で感じたこと (3ページ目)

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu


 その上で、かなり長い時間をかけて入念にフォームやバランスの取り方、力の入れ方などの指導を受けた。

ジュリー・クローンに指導を受ける藤田菜七子ジュリー・クローンに指導を受ける藤田菜七子
「まさかこういったすごい人に会えるとも思わなかったし、こんなにみっちりと指導していただけるなんて、とても貴重な機会をいただけました」

 思わぬレジェンドの手ほどきに、充実した表情を見せていた。

 迎えた翌日。午後3時すぎに競馬場に入ると、徐々に緊張感が高まってきた。騎乗するエイエフアルヘイザールは、当地の重賞で好走するなど、実績はメンバー中上位クラスなのだが、実はこれが約2年ぶりの実戦。それでも調教師は太鼓判を押す。

「この馬はいい馬なので、まずスタートさえよければ、いい位置につけられる。難しいことは考えなくて大丈夫」

 パドックでは現地に住む日本人も応援に駆けつけ、中東初登場の藤田騎手に大きな声援が飛んでいた。

 出走馬は15頭。コースは2コーナーに向かうシュートからスタートして、ワンターンする、東京競馬場の同じ距離で、ちょうど逆周りのイメージ。エイエフアルヘイザールは12番ゲートからスタートすると、すんなりと好位3番手の外に取り付いた。だが、3コーナーに差し掛かると、やや手応えに鈍りが見え始める。さらに、内にいた馬がやや膨れ気味に外へと張り出し、その影響もあって徐々にポジションを落とし始めてしまう。直線に向いて、藤田騎手の必死のアクションに馬も気力を取り戻したのか、3コーナーの手応えからすれば、ズルズルと下がることなく踏ん張りを利かせるが、最後は勝ち馬から離されて7着でゴールした。

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