2016.10.12

秋華賞の「主役」ビッシュ。
華奢なヒロインの伝説が今、始まる

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 三浦晃一●撮影 photo by Miura Koichi

 オークスのあと、夏場も天栄でじっくり休養し、早くから紫苑Sを目標に調整を重ねた。木實谷氏は、「(ビッシュは)肌つやもよくなって、体調面も良化していきました。おかげで、しっかりと乗り込めましたね」と話す。

 その言葉どおり、紫苑Sでのビッシュは完全に"強者の振る舞い"だった。1番人気の支持に十二分に応える完勝劇で3勝目を挙げた。「このくらいは走ってくれると思っていました」と、木實谷氏もレース前から手応えを感じていたという。

 そして、2月のデビューから約8カ月――ついにビッシュがGIの勲章をつかもうとしている。

「紫苑Sのあとも天栄に戻ってきましたが、極めて順調に乗り込めました。連戦だった春とは違って、まだ秋2戦目なので、疲労の蓄積も少なかったですね。予定どおりのメニューをこなせましたし、自信を持って送り出しました」

 秋華賞は、ビッシュにとって初の関西圏でのレースとなる。そのため、「初輸送」という壁を超えなければならない。そこを突破して、本来のパフォーマンスが発揮できれば、間違いなくタイトルに手が届くはすだ。

 木實谷氏が「本当にこの馬が完成するのは、来年の秋か、再来年」と言うように、まだ体質面では強化の余地があるようだ。しかしそれは、今後古馬や牡馬と戦うために必要な"伸びしろ"とも言える。

 将来の大いなる野望へと向かう前に、まず実現すべきは、同世代牝馬の中で"女王の座"に就くことだ。素質にプラスして、順調なトレーニングによって馬体に"芯"がともなってきた華奢なヒロイン。そのたくましい走りでどんな秋を彩ってくれるのか、期待が膨らむ。

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