秋華賞の「主役」ビッシュ。華奢なヒロインの伝説が今、始まる (3ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 三浦晃一●撮影 photo by Miura Koichi

 素質の高さは確かだが、華奢(きゃしゃ)な馬だけあって、どうしても消耗は激しかった。実際、デビュー戦を勝ったあと、2戦目はマイナス10kgの408kgでレースに出走している。さらにその後、天栄での短期放牧を経て挑んだGIIフローラS(4月24日/東京・芝2000m)でも、体重を4kg減らして404kgで出走。同レースでは5着と、生涯初の敗戦を喫した。

 それでも、フローラSのあとに天栄に戻ってきたときは、前回と違って疲れは少なく、「回復よりも、調子を上げる方向にシフトできた」と木實谷氏。その証拠に、次走のオークスでは馬体重がプラス12kgと増えていた。そうして挑んだ大舞台で、ビッシュは改めて自身の素質の高さを示した。

 1000m通過が59秒8と、よどみないペースで進んだオークス。ビッシュは中団につけると、シンハライトら有力馬を後ろに見て、いち早くスパート。直線に入って残り300mで先頭に立つ、果敢な競馬を披露した。

 結局、最後の最後、ゴール寸前で勝ち馬シンハライトと2着チェッキーノに屈したものの、堂々のレースぶりで3着。攻めのスタイルで、大健闘したのだった。木實谷氏が語る。

「オークスの3着は強かったですね。ビッシュのレースは、どれも印象に残っていますし、そのたびに改めて"走る馬"だと痛感させられてきました」

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