「旅打ち」の最後は名古屋競馬場。きしめんで腹ごしらえして好発進 (2ページ目)

  • 土屋真光●旅人 Traveler&text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 それにしても、今日も暑い。キャリーバッグを引いて歩く、駅から競馬場までの3分の道のりが10分以上に感じられる。よほどつらそうに見えたのか、競馬新聞の売店のおばちゃんが、「今日はこの夏、一番の暑さになるみたいだね」と声をかけてきた。

 この旅、何度目の「この夏、一番の暑さ」なのか......。その言葉を聞いただけで、ぐったりする。ワシは「この夏......」のコレクターちゃうわ!

 こんなときは、やはりエアコンの効いた特別観覧席に限る。負けていても、いや負けているからこそ、予想の環境は快適にしておきたい。

 入場門をくぐって、早速特別席売り場へと向かった。そこで、愕然とした。売り場の壁に、こんな張り紙があったのだ。

「あおなみ線の往復きっぷをご利用のお客様、特別席無料」

 マ・ジ・か!? 今どき地下鉄とか、近距離の電車に乗るなら全国で利用できるICカードを使うでしょ(所持金も減っているし......)。先に教えてくれれば、きっぷを買って来たのにぃ......(涙)。

 2種類ある特別席は、2階グリーンホールが500円で、4階特別観覧席が700円。金額にすれば、ひとレースにつぎ込む額より少ないのだから、大したショックではないのだが、身も心も疲弊し切った今、これがものすごく損をしたように思えたのだ。

 その様子を見て不憫に思ったのか、競馬場案内のおねえさんが「実は最近、『プレミアムラウンジ』という新しい席がオープンしたんですよ」と、教えてくれた。

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