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宝塚記念、ドゥラメンテを脅かすのは「器用な馬」シュヴァルグラン

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 2016年の上半期を締めくくるグランプリ、宝塚記念(阪神・芝2200m)が6月26日に開催されます。

 昨年末のグランプリ、有馬記念(2015年12月27日/中山・芝2500m)を勝ったゴールドアクター(牡5歳)、同2着のサウンズオブアース(牡5歳)こそ出走しないものの、この暑さの中、今年は現役屈指の有力馬が集結。見応えのある競馬が見られそうです。その結果、どの馬が栄冠を手にするのか、レース前からワクワクしますね。

 まず注目は、何と言っても二冠馬ドゥラメンテ(牡4歳)でしょう。その二冠を決めた昨春のクラシック、皐月賞(2015年4月19日/中山・芝2000m)も、ダービー(2015年5月31日/東京・芝2400m)も本当に見事な勝ちっぷりでした。

 しかも、特筆すべきは世代レベルが高かったこと。ドゥラメンテが負かした面々が、古馬になってから凄まじい活躍を見せています。この宝塚記念にも出走する、天皇賞・春(5月1日/京都・芝3200m)の優勝馬キタサンブラック(牡4歳)をはじめ、サトノクラウン(牡4歳)、アンビシャス(牡4歳)、さらに今回出走しない中にも、リアルスティール(牡4歳)、レーヴミストラル(牡4歳)など、重賞ウイナーがゾロゾロいます。

 そのハイレベルだった世代のトップに君臨するドゥラメンテ。宝塚記念出走メンバーの中でも、最も有力な1頭と言えるでしょう。

 唯一の懸念は、ドバイ遠征時における落鉄。落鉄が起きるケースはいろいろあって、特に多いのはレース中です。前の馬と接触したり、逆に後ろの馬に引っ掛けられたりして起こります。また、他馬との接触以外でもちょっとしたことで、衝撃の角度によっては外れることがあります。あと、慢性的に爪の弱い馬は落鉄しやすいですね。

 ドゥラメンテの場合、レース前に落鉄しています。その原因はわかりませんが、レース前にそれほど負荷がかかっているとは思えないので、もしかすると爪に弱いところがあるのかもしれません。その状況でレースもこなしたわけですから、なおのこと不安が膨らみます。

 ある意味、競走馬の爪は一番の"肝"と言っていいほど重要なパーツです。どんなに能力があっても、どんなに速い馬であっても、地面と接触する部分に不安があれば、その能力をフルには出し切れませんからね。

 それでも、今の時期なら爪が伸びるのは早いですし、落鉄から3カ月も経っていますからね、もう大丈夫だと思います。そもそもレースを使うからには、心配はないのでしょう。強いドゥラメンテを見せてほしいですね。

 ライバルになりそうなのは、中山記念(2月28日/中山・芝1800m)でドゥラメンテに、際どく迫ったアンビシャスです。

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著者プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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