藤田菜七子騎手へ。「馬一頭一頭の個性や感情に触れる気持ちを大切に」 (2ページ目)

  • スポルティーバ編集部●構成 text by Sportiva  photo by Kyodo news

3月5日、中央デビューとなる藤田菜七子ジョッキー3月5日、中央デビューとなる藤田菜七子ジョッキー ――デビュー戦(1996年3月2日中京第1レース、16頭立て9着)は覚えていらっしゃいますか?

「スタートに気をつけなくちゃいけない、コーナーの入り口はどうなるんだとか、あれこれ考えていたのですが、あっという間に終わってしまいましたね。模擬レースとは違って、頭数も多いし、お客さんもいる。そして、現役の競走馬。押さえ方ひとつとっても全然、違うんですよ」

――細江さんは海外(シンガポール)でも騎乗されています。海外で、女性ジョッキーの環境はどうなでしょうか。

「すっごくラクでした。私がシンガポールに行ったときは現地の女性ジョッキーとオーストラリアの方がいたかな。そこに女性がいるのが当たり前の環境で、男性の前で平気で着替えたりするんです。私にも40歳くらいの男性のバレット(※1)の方が付いたんですが、その方の前で、みんなスッポンポンになっちゃうんです。私も最初はびっくりしました。でも、そこにやらしさや変な感情はまったくないんです。
※1 鞍の準備をするなど、騎手の仕事をサポートする人

 思えば、私が騎手になった頃はトレセンに女性が少なくて、周りの男性たちのほうが、どう接していいかわからないという状況でした。今は調教助手や厩務員さんなどに、女性スタッフが増えていて、お互い自然体でいられるんです。現在、女性騎手はひとりですが、そのあたり藤田さんは私たちの頃より、やりやすい環境だと思います」

――藤田菜七子ジョッキーのことを伺います。彼女の長所はどこにありますか。

「競馬学校の教官から聞いたんですけど、彼女は気性の激しい馬でもおどおどせずに、うまくなだめて、それ以上気持ちを悪いほうに膨らませないように、治めることができる柔軟さ、柔らかさを持っていると。それを大事にしてほしいし、そこを武器にしていったらと思いますね」

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